確信すること。譲れないこと。
私事で申し訳ないが、30すぎて自分の子供が生まれたときに、人生観が音を立てて変わった。
まだ首も座らない、ふにゃふにゃの小さな子供を目の前にしながら、彼は一体どんなものを食べながら育っていくのだろうか、と考えていた。
「生きている人間が食べるものを売る」者として、店舗に置かれた商品を、一つ残らず、我が子に食べさせる自信があるか?
そう自問したとき、その時の私はまだ、胸を張って「ある」と答えられなかった。
思い出してみたら、子供のころからお袋は、新鮮な蕗(ふき)を醤油と味醂でじっくり炊き込んで、私に食べさせてくれた。 マツバガニの牝をコッペガニといい、いまならば、1000円はするものが、子供のときには10円ぐらいで売っていた。
品質のいいおいしいものを、きちんと調理したものを、食べてきたから、味覚に関する判断力もつき、いまの私がここにいる。父親として、子供に恥じることがないように、「自信をもって我が子に食べさせることができる」食品だけを店に置こうとこころに決めた。
だけど最初は、売り場が全然作れなかった。品質のいいおいしいものだけで、店をいっぱいにするには、情報も仕入れルートも圧倒的に不足していた。泣きたいほどの無力感のなか、一つまた一つといい品物を増やしていった。25坪の小さな店から、100坪の「愛情食品店」へ、そして325坪の「旬工房」へ。
商品に関する自信と一緒に、店舗がだんだん大きくなっていく。今の私は、自分の子供にいうことができる。
「お父さんの店のものなら、何でも食べて大丈夫だよ」と。 そのことがなにより、私を幸福にする。
代表取締役 飯田充寛 |